《はてなき旅》君兰

11、第５章 武器

　　「すげー。いいもんそろってんなぁ・・・。」
　　４人は町に入って、最初に武器屋の扉を開いた。中はクランの使っている種類の武器からルルアの使っている武器、それ以外にもいろいろな武器が棚にきれいに並べられていた。
　　「俺、こっち見てくる。」
　　とクランは自分の武器が置かれた棚のところに進んだ。他の３人も自分の旅の友を探しにそれぞれ分かれた。

　　「う～ん・・・。いいものばっかりね。これは重過ぎるしなぁ・・・。」
　　アウラが
　　「ルルア様。どうですか？」
　　と棚の影からひょっこり顔を出した。
　　「これとこれで迷ってるんだけどぉ・・・。」
　　とルルアは銀色の見た目は軽い感じの銃と、色はまったく同じの銀で最初のよりは重そうだが二発連続で打てる型のタイプの銃をアウラに見せた。
　　「確かにどっちも捨てがたいですね・・・。セカンド銃じゃないですからどっちもってわけには行きませんし・・・。」
　　アウラはルルアと同じように悩み始めた。
　　「でしょ～。どうしよ・・・。」
　　とルルアが頭を抱え込んで考えていると、
　　「おっ。ルルア様。どうかしたんで？」
　　と店のおじさんが側に寄ってきた。
　　「おじさ～ん。これとこれで迷ってるんだけど・・・。」
　　ルルアが二つの銃をおじさんに見せると、
　　「あれ？いつも使ってた銃は使わないのかい？」
　　と銃を受け取ってルルアに言った。
　　「あれはもう古くなって、いつ壊れるかもわかんないから、置いてくの。」
　　ルルアは寂しそうに笑った。
　　「！？もしかして旅にでも出るのかい？」
　　おじさんはルルアの発言に驚いた。
　　「うん。私四代星に選ばれちゃったの。だからアウラと後その辺をうろうろしてる男２人と一緒に旅に出るのよ。」
　　とルルアは嬉しそうにしゃべった。
　　「へ～そうだったのかい。そうか。この町も寂しくなるなぁ・・・。アウラさんもそうなのかい？」
　　と声をかけられたアウラは小さくうなずいた。
　　「そうかい。・・・そうだ！おじさんから贈り物をしよう！ちょっと待っててくれ！」
　　とおじさんはあわてて棚の影に引っ込み、どたどたと走っていく音がしてしばらくもしないうちに何かの箱を持って戻ってきた。
　　「はぁはぁ。これだ。ルルア様にあげるよ。これはおじさんの店で一番の宝と言っていい。」
　　とルルアにもってきた箱を渡した。
　　「何？」
　　とルルアがゆっくりと箱のふたを開けた。
　　「わぁ！すごーい！」
　　ルルアは中のものを取り出した。中には一つの銃とピアス、ブレスレットが入っていた。ルルアは銃を手に取り、顔の前まで持ってきて眺めた。
　　「おじさん！こんな上等な銃見たことない！」
　　「これは世界に一つしかないといわれている銃で、メタリック製だぞ。しかも魔法の力をこめて打つとその魔法を弾丸として撃てる。アウラさんや他の人とコンボして使うといい。普通の弾は９発まで撃てる。連射は無理だがな・・・。」
　　とおじさんはこの銃の説明を体を使って表現した。
　　「ホントにもらっていいの！？こんな大切な銃・・・。」
　　ルルアはだんだん申し訳なくなった。
　　「いいよ。もらっちまいな。どうせもうこの町には銃を使うやつはなかなか居ないだろうからな。」
　　「ありがとう！大切にするね！じゃこれは買うわ！」
　　と別の小型銃をおじさんに差し出した。
　　「セカンド銃として使うわ。」
　　「分かった。それはさすがにただってわけにはいかねぇから。っと・・。これはアウラさんにだ。魔力を高めてくれる能力があるらしい。」
　　と箱の中に入っていたピアスと、ブレスレットをアウラの手に渡した。
　　「え・・・よろしいんですか？私にまで・・・。」
　　アウラは遠慮がちに言うと、
　　「もちろんやる。それでルルア様を守ってあげてくれ。」
　　と言ってにっこり笑って行こうとした時、
　　「あっそうだ。その銃には名前があってな、『スフィル』って名前だ。」
　　と言って、また棚の後ろに回って行った。
　　「スフィルかぁ・・・。なんか可愛い名前ね。スフィルちゃん♪」
　　ルルアはスフィルに頬ずりした。
　　「私も良いものをもらいました。」
　　とアウラは今耳にしている、耳のふちに挟みこむようにはめてあるピアスの下の耳たぶにもらったピアスをした。細長く青い水晶石のピアスだ。ピアスをつけ終ると、ブレスレットを左手につけた。これには水晶石が埋め込まれていて、白色で光っていた。
　　「お～い、決まったかぁ～。」
　　とクランとルックがそれぞれの武器を持ってルルア達のところへやってきた。
　　「決まったわよん♪そっちは？」
　　ルルアはスフィルを見せた。
　　「俺達はこれ。」
　　と２人は武器を見せた。クランは前よりはほんの少し小さくなった大剣を見せた。大剣の刃のところにドラゴンの模様が大きく入っていた。
　　ルックの武器はやはり短剣でこれもやっぱり二本だった。一本は短剣にしては少し大きめで、普通のより一回り大く、十字架の模様が入っていた。なんか不思議な感じの短剣だった。もう一本は、普通のサイズだが軽そうなだけで他にはあまり何もなかった。
　　「いいの選んでんじゃない？じゃお金払ってきましょ。」
　　と４人はおじさんの座っている奥のカウンターへ歩いた。

　　「これはすごいものを選んだね。こちらさんも。みんなこの店では一番のものだよ。」
　　とクランとルックの武器を感心しながら眺めた。
　　「やっぱり？俺達見る目あるからなぁ・・・。」
　　とルックは自分の目を褒めちぎった。
　　「これらにはルルア様のと同様に名前があるんだよ・・・。まずこれは・・・。」
　　おじさんはクランの大剣を指して、
　　「これは『カリファーソウル』と言って、このドラゴンの模様があるだろ？これを武器として使う時その持ち主の精神状態が光って強さを発揮する。つまり、普通の状態だったらまぁ半分ぐらい光り、死にかけだったら消えかけるってことだ。ちなみに炎タイプのラルクには最適だよ。」
　　とおじさんは得意げに話した。
　　「へ～俺炎系だから丁度じゃん。偶然。」
　　とクランがお金を払い前使っていた大剣は置いてきたので背中に引っ掛けるようにぶら下げた。
　　「おじさん！俺のは！？」
　　ルックは短剣カウンターをバンバン叩いた。
　　「ええっとこれは・・・。こっちは『ライフブレード』だ。なんか能力があったはずなんだが忘れてしまったなぁ・・・。」
　　と十字架の模様が入った少し大きめの短剣を指した。
　　「で、こっちが『サークェン』って言うんだ。すばやさが高い人にはお勧めだ。」
　　おじさんは軽そうな短剣を持って振り回した。
　　「おし！俺には最適！やっぱ俺見る目あるわ～。」
　　とルックは嬉しそうにお金を払い、腰のところにかけた。
　　「じゃおじさん行くね。ホントに銃ありがとう。いつか帰って来た時にお金払うから。それまで楽しみに待ってて！」
　　と言いルルアは一番に店を出た。
　　「おじさんありがとな！」
　　とルックも出て、
　　「ありがとうございます。」
　　クランも出た。そして
　　「ありがとうございます。ルルア様は必ずこの町に帰ってきます。」
　　と言い残しアウラも店を出た。
　　「ああ、行っておいで・・・。いい旅を・・・。」
　　と一人取り残された店の中で小さくつぶやくように言った。