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16、第十六集 第十六集 ...
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第十六集
グリズリーさん旅立つ
シロクマが おいしい季節でやんすよ
お前 シロクマ食ったこと あんのか?
えぇ今日も昼に食べましたよ
夏は美味しいんだ
シロクマ
カワウソが シロクマを
ありえねえ お前一人でやったのか?
いや いや仲間と一緒に
えっ仲間とシロクマを
熊食うヤツが俺の店に来るんじゃねえ
ふざけやがって
シロクマが あんな野郎どもに食われるかよ
今日の昼
白くま はじめました
いらっしゃい
しろくまくん ごめんね
何? パンダくん
僕今までしろくまくんのこと しろくまだと思っていたけど
まだ しろくまじゃなかったんだね
パンダくん何いってるの?
表に(おもて) 「白くま はじめました」って
いや あれはさ
だったら今までは ただのシロ? ただのクマ?
白くまっていうのはかき氷の名前だよ
かき氷なの?
そう練乳かけて フルーツをのせたやつだよ
何でも上にのせたフルーツが シロクマの顔に見えたの由来とか
ペンギンさんの退屈の話はいいから
それ食べてみたい
退屈かどうかは最後まで聞いてから判断して欲しいね
これが白くまだよ
上から見てね
本当だ
シロクマだ
シロクマカフェで白くまを
とっても涼しい感じ?
ものすごく涼しいよ
そして現在
ウソだろ シロクマ
ほら ガセだ がせ
シロクマさん
マジか マジだったのか
ごちそうさまでした
あぁ そんな
「白くま はじめました」
「はじめました」 じゃねえだろ お前
人生終わっちまってんじゃねえかよ
やっぱり 無理ですよ ハバネロは辛すぎます
そう?結構 クセになるよ ハバネロ
シロクマ お前とは ガキの頃からの付き合いだったよな
ハチミツ食べたい
大丈夫かよ シロクマ
頑張れ
ワカサギ食べたい
大丈夫かよ シロクマ
キノコ食べたい
大丈夫かよ? シロクマ
なんか ろくな思い出がねえな
とはいえ懐かしい思い出だぜ
あぁ ダメだ こうしていると お前のことばかり想い出しちまう
シロクマ
いらっしゃいませ
シロクマ
ビール買う
待ってきたよ ほい
それは リール
ダジャレ
シロクマ
孤独(こどく)よ俺の悲(かな)しみを癒(い)やしてくれ
くまだ可愛い
何してるの?
こっち向いて
ねぇ グリズリーさんのお店 ずっとお休みしてるって ホント
旅行にでも行ってるのかも
旅かぁ やっぱり ワイルドな旅なんだろうね
おそらく
あてもなく北へと向かうグリズリー
ふと立ち寄った居酒屋(いざかや)で
どうぞ
頼んでねえぜ?
サービスですよ
お客さん旅の方でしょ?
わかるかい?
都会のにおいがしますよ
と そこへ現れる(あらわれる)人相(にんそう)の悪い男
よう女将(おかみ)今日もきてやったぜ
帰っとくれ アンタが来るおかげで他のお客さんが寄りつきゃしないよ
生意気な(なまい)口をきくと タダじゃ
出ていきな文句があるなら俺が相手になるぜ
すみません
ありがとうございます
鮭のお礼さ
それがきっかけで グリズリーは居酒屋の用心棒(ようじんぼう)になった
女将の幼い(おさない)子供たちも懐き(なつき)
グリズリーじちゃん
近所のお年寄りたちも馴染み(なじみ)
悪いね
気にすんなって
いつしか グリズリーはなくてはならない存在(そんざい)になっていた
パンダくん そんな リアリティーのない話を本気にしちゃダメだよ
まさか こんな展開(てんかい)になるとはな
グリの兄貴(あにき)も一緒にどうっすか?
シャケをサカナに おしゃけを一杯 なんつって
シロクマ
ちょっと駄洒落はダメだって言ったでしょ
すみません
しょせん俺たちは弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)の世界を生きる者
もう俺は泣かないぜ
また いつでもおいで おじちゃん バイバイ
あばよ シロクマ
このお店は俺が引き継(つ)ぐ
どうしたんですか 急に
あいつの代わりが務(つと)まるは親友の俺しかいねえだろ
俺が シロクマ始める
シロクマカフェの店長やるの?
今日から マスターと呼びな
グリズリー バーは?
やる 昼も夜も働く
いつ寝るんですか
合間に寝る
ダジャレだってやるぜ 何しろ俺が この店のシスターだろ
それじゃあ イースターだろ
それじゃあ これで どうだ
ポスターだろ
これは ダスター
ダスターで顔拭(ふ)くんじゃねえ
テメエ なんで生きてるんだよ
お母さんが産(う)んだから
そうじゃねえ
お前 カワウソに食われたんじゃ
ちは今日も白くま食べにきたでやんす
どういうことだ
紛らわしい名前 つけてんじゃねえ
ったく驚(おどろ)かせやがって
悲しみにくれた俺の時間はいったい
思い出すと泣いちゃうほど ショックだったの?
キーン ってなってんだよ
見知らぬお店
私が仕事で その街を訪れた(おとずれた)のは
とある暑い夏の日のことだった
まとわりつく熱気(ねっき)もさることながら
何よりも私の心を ささくれさせたのは
昼に入った駅前の中華屋だ
蒸し暑い店内
生(なま)ぬるい冷(ひ)やし中華の麺は
見事にのびきっていた
しかし頼んだもを残すのは私のプイドが許(ゆる)さない
が胃はまだもたれている
リフレッシュせねば
見知らぬ街で見知らむ店に入(はい)るのは
あたりハズレが大きい
生き返る
いらっしゃいませ お好きな席へどうぞ
あれは
シロクマさんです
それはわかります
店長なんです
シロクマが店長なんですか
ええ シロクマカフェですから
そうですか
いらっしゃいませ
お決まりの頃 お伺いします
あ はい
チャックなどは見つからない
やはり着ぐるみではなく本物
この街が動物が多いと聞いていたが
こうして 働く動物を見たのは初めてだ
大きい あんな手で料理をするのだろうか
カフェなのに輪切り(わぎり) ありえない
でも そんな想像しかできない
ムダがなく しかも美しい働き
疑(うたが)ってすまない
さぁ もはや偏見(へんけん)は捨てて 注文するぞ
メニューが動物用だなんてことは
あ さすがに普通か
これは竹
いや待て もしかすると竹をモチーフにしたスイーツかもしれん
しかし正真正銘の(しょうしんしょうめい)竹であることも否定できない
お決まりですか?
あ えっと アイスコーヒー
アイスコーヒーを おひとつでよろしいですか
はい いえ
竹を
竹ですか?
はい
大盛りもできますが
じゃ それで
はい
注文してしまった しかも大盛り
この選択(せんたく) 吉(きち)と出るか 凶(きょう)とですか
お待たせしました
やっぱ凶か
あ いや待て 今まで食べる機会がなかっただけで
案内おいしいのかもしれない
そうだ きっとそうだ
竹の香り(かおり)が だんだんと青臭さ(くささ)に変わり
噛みきれない筋(すじ)とともに口の中に広がってくる
やっぱ ただの竹だ
どうする こっそり出しちゃおうか
しかし一度口に入れたものを出すなど言語道断(げんごどうだん)
う? だが意識(いしき)が飲み込めと命令(めいれい)しても体が拒否(きょひ)する
水だ
うわ しまった
さっき全部飲み干(ほ)してしまった
もはや限界
アイスコーヒーです
天の助け
戦(たたか)いはまだ始まったばかり
こんにちは
パンダ
よいしょ
パンダだ
子供の頃動物園に行った時は
人の頭しか見えなかったパンダが
今まさにこんな近くに
しかし至近距離(しきんきょり)すぎて 見るのが気まずい
どうしたものか
そうだ周りを見るふりして
えっと お手洗いはどっちかな
見られてる パンダにメッチャ見られてる
食べないの?
えっ いっ
もらってあげてもいいよ
このチャンスを逃(のが)してはならぬ
良かったら どうぞ
ありがとう
ペンチ脱出(だっしゅつ)
何だか すみませんね
ああ いえいえ
よろしかったら どうぞ サービスです
振り出しに戻った(もど)
いらっしゃい
こんにちわ
今度は ペンギン
かわいい
その椅子に座るつもりか?
よじ登るか?跳ぶのか?誰かにのせてもらうのか
コーヒー おかわり いかがです?
ありがとうございます
クソ見そこねた
今日は暑いね
ホント仕事場にもクーラー欲しいよ
それは カーラー
それは セーラー
それは ディーラー
それは なんだっけ?
何とかラー
マーラー? トレーラー?
ハスラーだ
ハスラー!
何だっけ
教えてよ
ひみつ
言いたい言ってしまいたい
しかし いきなり 会話には入れ込むなぢ
ああ レスラー
惜しい(おしい)
じゃあ ブロイラー
遠ざかった(とお)
もう我慢できない どう思われても私は言う
いらっしゃい
これまた動物園のアイドル コアラ
根強い(ねづよい)人気のラッコ
マンドリル色鮮やか(あざ)
ラクダ
ロバ じゃない え
タマ いや そんな感じの
ああ思い出せない クソ
いらっしゃい ラマさん
そうだ ラマだ
ああ すっきりした
そういえば この前の半田さん面白かったよね
気がついたら私以外周りは そんな動物
しかも そんな常連風だ(じょうれんふう)
なんか 居づらい
席が いっぱいだよ
テーブル席は空(あ)いてるよ
あの よかったら どうぞ
もう帰りますので
もう帰っちゃうの? ゆっくりしていけばいいのに
いつの間に仲良くなったの?
ネクダイさんとは竹をもらった仲だよ
ね
はい
ありがとうございました
ごちそうさま
あの
はい
お持ち帰りできますので どうぞ
ありがとうございます
さて あと ひと仕事 頑張るか
そうして 私は日暮れまで働き
この街で夜を迎えた
一杯 やるか
おう そこは空いてるぜ 座んな
いや その
座れって 遠慮すんな
見知らぬ店に入るのは
当たりはずれが とても大きい