晋江文学城
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17、第15話:恋人《前編》 ...

  •   雄輔と梓が付き合う事になった。

      その連絡が正式に彼らから来たのは帰りの電車の中だった。

      『知ってると思うが、僕と梓さんは付き合う事にしたよ』

      「おっ、さっそく名前で呼んでるんだな」

      『ああ。今回の事は未来には感謝してる。感謝してるが……あれはヒドイだろ』

      彼はあの密告を恨んでか、ため息混じりにそう呟く。

      『まさかバラすなんて、男同士の友情じゃなかったのか?』

      「ま、俺なりに梓へ警告しておいただけだ。さすがに彼氏がああでは困るだろ」

      『実際にするのは趣味ではないんだけど。おかげで最後の最後でオチがついたじゃないか。まぁ、彼女も一応もう見ないという事で許してくれたけど、僕の趣味がぁ……』

      電話の向こうで「まだそんな事言ってるのかな?」なんて声が聞こえる。

      びびってる雄輔の姿からどうやらもう既に主導権は梓が握ってるらしい。

      「幸せなんだから、それぐらいいいだろう」

      『そういう事にしておくか。とりあえずはありがとう。次はお前達の番だな』

      「それはどうかな。その辺の事はまた今後、相談するかもしれんが」

      頼りになる友は『その時は力になるさ』と言って電話を切った。

      その話を横で聞いていた留美は電車の窓の景色を見ながら、

      「人を好きになるって不思議。ううん、好きって言葉が1番不思議かもしれないね。好きなのに辛い、報われない恋とか好きなのにすれ違いが起こるとか。子供の頃に思っていた“好き”って言葉は単純に幸せになるための言葉だって思ってた」

      自分の気持ちとかその言葉に込めているのかなって思うと俺は何も言えなくなる。

      自分に負い目があるからこそ、何気ない時に彼女が俺を責めている気がしてるだけか。

      しかし、留美の言葉は的を得ているかもしれない。

      「好きは人を傷つける言葉でもあるよね」

      「……それも含めて“好き”じゃないのか?好きというのは例えその過程で傷ついても、苦しんでもひっくるめて最後に幸せになれる言葉だって事だろ」

      俺がそれを言うか、俺は自分の無責任な発言に呆れる。

      「そうなのかな?苦しみの先に幸せは本当にあるの……?」

      俺はその彼女の発言に対して何かを言える立場ではない。

      ただ答えの代わりにできるだけ優しくその頭を撫でた。

      「私は……幸せになりたいよ」

      留美は辛さをうちに秘めるような顔をしてから、俺の行為に身を任せていた。

      以前の話だが、留美は過去にもこういう話をした事があった。

      そう、あれは確か数ヶ月前の事だった。

      俺と留美はおやっさんの店で、胡桃さんを交えて雑談をしていた。

      その日はお客も少なくて暇だった時に留美がやってきて、休憩中だった胡桃さんと話をしていた所から始まる。

      「胡桃さんって今まで恋とかした事あるんですか?」

      「え?あ……恋ねぇ。女の子だもの、恋ぐらいはあるわよ」

      胡桃さんは紅茶にミルクを入れてスプーンでかき混ぜている。

      どこか含みをもった話し方に俺も興味を抱いた。

      そういえば、胡桃さんって美人なのにあまり浮いた噂とか聞いたことないな。

      とはいえ、男の俺はその話に参加できないので聞き耳立てるだけにしておく。

      「……私さ、男の子と付き合ったこと1度しかないんだ。その人は高校の同級生だったんだけど、私と一緒に東京に出た時に別れちゃってね。それ以来、会ってないな」

      「東京?あれ?胡桃さんって村の外に出てた時期があったんですか?」

      それは俺も初耳だな。

      モデルをしている話は聞いたことがあるけれど、そんな話はマスターからも聞いてない。

      一応、中学時代からここには毎朝通っているのだが。

      「……東京に行っていたのは半年程度だもの。私が高校の時にモデルにスカウトされて、卒業後に東京で成功したの。その頃に東京の方の大学通っていたその人と付き合ってた。でも私の方がお仕事が忙しくなって、会えない時間が増えたの。そのうち、彼の浮気がバレたとか、そういうのも重なってもう別れようって事になったんだ」

      「うわぁ、そういうのって嫌ですね。胡桃さんは……その人の事好きだったんですか?」

      「うん。……好きだったんだけど、私もあの頃はお仕事に夢中だったから。恋より仕事を選んだ私にも責任があるんだ」

      「それで、どうして村に帰ってきたんです?モデルとして成功していたんでしょ?」

      留美も悠里ほどではないが胡桃さんに対して憧れを抱いてる。

      今でも、彼女にどういうファッションが流行っているとか、そういう話をよくしていた。

      「彼と別れて考えさせられたの。私にとって幸せって何かなって……。恋する幸せ、お仕事する幸せ。また恋をした時に、どちらの幸せがいいのかな?そんな風に考えてると楽しかった仕事まで影響でちゃって、ここに戻ってきて充電中なの」

      彼女はまだいろんな事に悩んでいると言った。

      モデルの仕事に対しても今はファンに影響が出ない程度に抑えているとか。

      「私もそろそろ答え出さなきゃね。1度、幸せっていうのを見失ってしまうと……結構辛いよ。留美ちゃんも自分の幸せをちゃんと見つけて大事にしなさい」

      その時の胡桃さんの笑顔はとても優しい笑顔をしていた。

      幸せの価値は人それぞれ、それだけに自分の納得する幸せを得たいと思ったんだ。

      あの日から俺は舞という存在を意識してしまった。

      『俺は舞が好きなんだ。……俺と付き合ってくれないか?』

      『……ミクちゃん』

      あれからいろんな事があって、俺達は今ここにいる。

      何度も彼女と共に訪れたこの場所で、俺は舞からその言葉を聞かされた。

      「ミクちゃん、あの時の告白の答えを伝えるね。……私は貴方の恋人になるわ」

      「……え?」

      俺はなぜか信じられなくて、戸惑う声を出していた。

      今までは好きなのに付き合えないと断り続けていたはずの彼女。

      そんな舞が今、俺に恋人になろうと言ってきた。

      「……ホントに?」

      「うん。ホントに……だって、私もミクちゃんの事が好きなんだから。本当に好きなモノを我慢して、幸せになれないのは嫌だって思ったの。それが例え、るーちゃんを傷つける結果だとしても」

      その一言に俺は喜ぶはずだった。

      嬉しくて多分、彼女を抱きしめているはず。

      でも、俺は抱きしめるどころか、喜びの気持ちさえ言葉にできないでいる。

      『私は……幸せになりたいよ』

      留美がそう言って見せた悲しみの表情を思い出してしまったから。

      あの表情に込めた感情を知っているから。

      「……ミクちゃん?もしかして、返事遅すぎたせい?私の事、嫌いになった?」

      俺が何も言わずに黙り込んでいたせいか、不安そうな様子で彼女はそう言った。

      「違う、そんなわけがない。ただ突然だったから……戸惑ってただけだ。嬉しいよ」

      「そう。よかった……。今さらそんな事言うのって、自分勝手かなって……」

      「そんな事はないさ。俺もずっとその返事を待ってたんだから」

      俺は少し躊躇した後で舞の身体を抱きしめた。

      留美の事は……もう考えない方がいい。

      それが互いのためだ。

      「約束は……本当にいいのか?」

      「うん。私はね、幸せになりたい」

      「……っ!」

      俺は舞と幸せになれるのか?

      こんな俺が彼女を幸せに出来るのか?

      「るーちゃんの事は裏切りだと思うの。それも分かってる。でも、それ以上に私の中にあるミクちゃんの気持ちの方が大きくなってた」

      彼女は苦笑するような笑みを見せる。

      「ミクちゃんのせいだよ。ミクちゃんが私を好きっていうから、我慢していたものを抑えられなくなってしまった。……だから、私、傍にいてもいいよね?」

      「当たり前じゃないか」

      もう何も悩むなよ。

      俺達は留美に対して罪悪感を抱いてる。

      それは間違いがないことで、その事は彼女に対して伝える義務がある。

      『俺の恋人になって欲しい』

      『ごめんね、ミクちゃん。私はミクちゃんの恋人にはなれないよ……』

      何度も俺は彼女に対して気持ちを伝えた。

      その結果、ようやく振り向いてくれたのを俺は喜ぼう。

      彼女だって悩んだその先の結果だと思うから。

      「……舞」

      俺は舞の唇にキスをおとした。

      俺は選んだ。

      留美ではなく舞を恋人して選らんだのだから。

      だから……この腕の中にある温もりを離したくない。

      しばらくの抱擁の後、俺達はすっかりと夜の帳のおちた帰り道を歩いていた。

      帰りの話題は今日の出来事。

      雄輔と梓が付き合う事になったという話をすると、彼女もうれしそうにしていた。

      「私達と同じタイミングで付き合う事になったんだ」

      「そうだな。ま、俺達の場合は前に告白しているから全く同じではないけれど」

      俺が初めて告白してから3年。

      ようやく俺は彼女と恋人になれたんだという実感。

      俺だけじゃない、きっとそれは彼女も同じ想いのはずだ。

      「……もうすぐ文化祭じゃない。2人で一緒に回りたいな」

      そういえば、もうそんな時期なんだな。

      「ああ。いい思い出作りたいな」

      「うん」

      高校最後の文化祭だ、きっと思い出に残るモノになるだろう。

      俺の傍には舞がいる、そう思うだけで俺は幸せだった。

      「その……その時ぐらいにね、私はるーちゃんに全てを話したいの。ダメかな」

      ……俺はその現実が本当になった時、ちゃんと立ち向かえるだろうか。

      「ずっとは隠していられない。多分、私達の行動から自然にるーちゃんは気づいてしまう。だから、その前に私達から言おうよ。それがせめてものケジメだと思うから」

      俺はその言葉に頷いたけど、俺の中には留美のあの言葉が去来していた。

      「……へぇ、こういう組み合わせになったんだ」

      突然の後ろからの声に俺達は振り向いた。

      まさか、留美か!?

      「やるじゃん、ミライ。マイも本当に欲しい者を選んじゃったんだね」

      俺達を驚かした声は悠里だった。

      手に持ってる荷物は買い物袋なので大方スーパーの帰りだろう。

      そういや、皆にも俺達の関係は内緒にしているんだよな。

      悠里には以前から感づかれていたのでそう隠すべき相手でもないけど。

      「……あの、別に私達はそういう関係じゃないよ?」

      「大体の経緯は知っているから下手な言い訳も隠し事もいらないわ。一応、私は2人の敵ではないのだから。それに、2人の雰囲気見てれば誰でもわかるし。今回は私でよかったけど、ルミの前でもそんな雰囲気してたら一発で感づかれちゃうよ」

      「そんなに簡単に分かるのか?」

      「そりゃ、私達が何年の付き合いだと思ってるの?」

      そうだな、逆の立場だとしたらその意味はわかる。

      雄輔と梓みたいに雰囲気で何となくわかってしまう、俺達も気を引き締めなくちゃいけないというのを、舞も感じているのか、普段よりも固い表情をしている。

      「もうっ、そんな暗い雰囲気にならないでよ。それよりも、私は2人がどういうきっかけでそういう風な関係になったのか聞きたいんだけど?教えてくれない?」

      悠里の気遣いで俺達の悪い雰囲気は消えたけれど、俺達には1つの問題があるのを改めて表面化したのを実感する。

      そうだ、俺達はまだ何も解決していないただのスタート地点にたっただけなんだな。

      【 To be continue… 】

      ☆次回予告☆
      過去の舞の気持ちが今に繋がる。
      かつて留美との間に交わされた約束。
      大好きな未来を想う今。
      いつから好きになったのか。
      そして、少女は親友を裏切る。
      【第16話:恋人《中編》】
      私の中に芽生えた嫉妬心。
      それは誰がために込められた想いか。

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