晋江文学城
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15、第13話:ダブルデート作戦《後編》 ...

  •   約束の日曜日、俺と雄輔は待ち合わせの駅前にいた。

      「ということで、留美も来ることになったらしい」

      俺は昨日考えていた適当な理由を雄輔に伝えた。

      梓は留美を誘って、4人で遊びに行くことになった。

      もちろん、昨日のうちに梓たちの事情を含めて留美には連絡してある。

      彼女は快く俺の提案にのってくれた。

      『未来とデートできるなら、何でもしてあげる』

      どうやら別の意味の勘違いをさせたかもしれないが。

      それはともかく雄輔も特に気にする様子もなかった。

      「それじゃ、いつもと同じか。まぁ、僕達らしいけどね」

      「バカ。これはチャンスだと思えんのか。4人でいくということは、自然に2人組になれる可能性があるという事だろ。違うか?」

      俺がそういうと、雄輔は心の準備が出来てませんでしたとばかりに焦りながら、

      「ちょ、ちょっと待て。それは、どういう意味だ?な?」

      「別に。お前がどうしてもというなら、そういう風な流れにしてやらんこともない」

      さて、雄輔はどうするかな。

      普段のコイツは奥手なのでこういう風な展開でもない限りは自分からデートなど誘えないだろう。

      ここまでお膳立てしてやったんだ、うまく行く方を選んで欲しい。

      「……頼む」

      「おう」

      素直に頭をさげる親友。

      これが隆樹であろうものならプライドないのかと突っ込む所だが、雄輔はいじめてはいけないタイプの純情だからな。

      この二人を応援したい、それは親友としての望み。

      そして、俺達にはない本当の恋愛だと思ったから。

      2人の気持ちだけで全てがうまくいく関係。

      そんな2人を羨ましいとさえ思える。

      ま、大して俺が動かなくても相思相愛ならなんとかなるだろう。

      「お待たせ。2人とも先に来てたのね」

      留美と梓が一緒にやってくる事も折込済み。

      これは留美の提案だった。

      『話がそういうことなら私にも作戦は考えさせてよ』

      協力者はさすが女の子か、男の俺では気づかない微妙な所まで考えてくれている。

      留美と俺とのコンビネーションはかなりいいからな。

      俺達がフォローしてやれば、後は彼らの気持ち次第だけでうまくいくはずだ。

      「……ねえ?」

      「何だよ」

      電車の中で小声で留美が俺に言葉をかける。

      「何でそんなに協力的なの?未来が誰かの恋愛に関してこういう風なことするのはじめてじゃない。いつも傍観者の立場のくせに」

      「協力的って雄輔は親友だからな。気にして当然だろ?」

      「そうかな。それだけじゃない気がする」

      一応、彼女にはこれの全てのきっかけが1冊の官能小説だという事は黙っていた。

      俺が協力的なのはそれも根底にあるんだよね、悲しい事に。

      「俺が親友のことを気にするのがそんなに珍しいか?」

      「ううん。そういうことなら、未来のこと少しだけ見直した」

      「お前にも期待してるからな」

      梓と留美、両方に対して俺は黙っていることがある。

      どちらに対しても俺は相手が好きだという事実をふせている。

      当たり前だが、俺が言っては意味がない。

      これは2人の問題だからな。

      揺れる電車内、俺と留美は隣同士に座りこうして作戦を考えてる間、梓と雄輔は前の席に座り楽しそうに話をしていた。

      ホント、俺達がそう関わらなくてもこの2人ならうまくいくんじゃないか。

      なんて思うけど、この2人はそれだけではダメだというのはわかっている。

      きっかけがないとうまくいかない、それは誰でも同じだと思う。

      「……デートしたいな」

      留美がふとそんな言葉を発した。

      「未来とデートしたい。こんな風にじゃなくて、ちゃんとしたデート」

      ……思わず、ドキリとさせられる冷たさを帯びた彼女の瞳。

      俺には彼女対しての負い目がある。

      舞と一線を越えていることを隠している、その事は彼女もそのうち気づくだろう。

      彼女がこういう言葉を言ううちはまだ大丈夫だという事か。

      「今日のはデートに入らないのか?」

      「誰かのためじゃない、私だけのために未来がデートしてくれるなら嬉しいけど。……何でこんな事私言ってるんだろ。変な事言ってごめん。今日のもデートだよね」

      すぐに笑顔を見せた彼女だけど、その表情はホントに“寂しそう”な気がした。

      俺達は市街についてからアーケード街で適当に梓と留美の買い物に付き合っていた。

      しばらくしてから、思い出したように留美が告げる。

      「ねぇ、未来。ショッピングモールの方にいかない?」

      「あれってこの通りの向こう側だろ。歩いたらけっこう遠いぞ?お前な、今日は皆で来てるんだから行動を乱すなよ」

      「うぅ、何でそんなにキツイ言葉で言うかな。いいじゃん。未来だって、結構好きな服が多いねって言ってたのに。ねぇ、梓。2時間くらい、別れて行動しない?」

      留美が我が侭なのは俺達の中では誰も知ってる(本人も自覚あり)。

      だから、こういうのも作戦としてまがり通ってしまうのだ。

      「別に私はいいけど……。ゆ、雄輔君は?」

      「僕もいいよ。それじゃ、2時間後くらいに集合しよっか?」

      「しょうがないな。俺は留美についていくから、そっちも楽しめよ」

      俺はこっそりと2人にエールを送る。

      2人とも互いに俺の作戦内にいることを知らず、どちらも自分に当てられたメッセージだと思ったに違いない。

      「じゃ、また後でな」

      俺は留美を連れてアーケード街を抜けて、数年前に出来た大型ショッピングモールの方へと足を向けることにした。

      2人の事は2人に任せよう。

      「あの2人、うまくいくといいね」

      「そうだな」

      俺達はこっそりと後を追うこともせずに、そのまま2人っきりにさせる。

      これも留美の作戦で、俺なら後を追うぐらいのことはするつもりだったのだが、そこまで面倒見る必要はないと言われた。

      子供じゃないんだ、何かあった時だけ連絡をよこすように梓には伝えてある。

      雄輔の方はそれとなく何か問題が起きたら連絡しろよ、と言っておいた。

      後は2人の行動に任せる。

      留美とモールに向かう途中で、彼女は俺の手を握り手を繋ぐ。

      「何してる?」

      「デート気分を味わいたいなって」

      その俺よりも小さな手の温もりが俺の心を乱す。

      もちろん、こんなのは幼馴染というだけでできるワケがない。

      俺は恋人じゃないんだ、と離させようとする。

      「……あのなぁ」

      「ダメなの?……私とじゃダメなんだ」

      そう言われてしまえばダメとは言えない、……色んな意味で完全に拒めない。

      「しょうがないな。今日だけだ。留美には協力してもらったからな。それだけだぞ?」

      「えへっ。それでもいいよ」

      手を握る力を少しだけ強くしてきた彼女に俺は言葉にしない罪悪感を感じていた。

      いつまで俺はこんな気持ちを彼女に抱き続けるのだろうか。

      留美は騙し続けている俺の事をどう思っているのか。

      気づいている?

      ホントは他人の恋愛にかまってる場合ではないんだと改めて思い知らされる。

      それでも、こんな複雑な状況ではない俺とは違う雄輔の恋を応援したいんだ。

      モールに着いたあとはひたすら彼女の後についていき、お気に入りのお店を回る。

      「これもいいよねぇ。未来も可愛いと思わない?思うでしょ」

      「そーですね」

      ちょっと投げやりな言葉で彼女の選ぶ服を見る俺。

      留美は気に入ったらすぐ買う派だから、迷うことなく金のある限り購入する。

      そうして彼女の買った荷物を持たされながらも、俺もそれなりに気に入った服を何着か購入すると、時間はそろそろモールを出ないといけない時間になっていた。

      「アイツらちゃんとうまくいってるのか?」

      「便りがないのが元気な証拠だっけ?」

      「?をつけるな。つまりはそういう事だろう……って、言ってる傍から電話きてるし」

      俺は梓から着信が来ているのに気づいて電話に出た。

      タイミングよすぎだけど、大した事ではないだろう。

      どうせ、仲がよくなりすぎて時間延長したいとかそういう話かもしれない。

      「よう、うまくやってるか。俺達ももう店でたからもうすぐそっちに行くぞ」

      俺が気楽な気持ちで電話に出ると、電話ごしに梓のすすり泣く声が聞こえてきた。

      『……ぁっ……未来君。どうしよ……どうしよう?』

      「どうした?何かあったのか?」

      どうも様子がおかしい、彼女は泣いているようだった。

      俺の様子を察したのか留美が俺と電話を代わる。

      「どうしたの、梓?大丈夫?」

      『……留美。私、私……雄輔君に嫌われちゃったよ……』

      「「え?」」

      俺達はその事実に驚きを隠せなかった。

      アイツが梓を嫌った?

      そんな事ありえない、ありえるはずが……ない。

      俺達は彼女を落ち着かせた後に急いで待ち合わせ場所へと向かう。

      どうしてだ、雄輔?

      俺は何度か彼に電話をかけたが、雄輔は1度も電話にでなかった。

      集合場所につくやいなや、俺達は近くの喫茶店に入り彼女から事情を聞く。

      俺達がついた時には何とか泣き止み落ち着いてはいたが、精神的に不安定に思えた。

      「それで一体何があったんだ?」

      俺はコーヒーを飲みながら彼女の話を聞くと、

      「……わからない。別に、何かしたわけじゃない。けど、いきなり彼が怒り出して」

      「雄輔が怒るって事態が珍しいな」

      長い付き合いだがアイツが起こったところは見た事がない。

      梓が怒らせるようなことをしたとは思えないし。

      一体何があったんだろうか。

      「……私嫌われちゃったのかな?」

      「それはない。そんな事より、今は雄輔から直接話を聞くのが先だな。留美、俺はアイツを探してみる。お前らはどうする?」

      「しばらくこの辺りにいることにするよ。ね、梓」

      「うん……」

      すっかり気落ちした梓。

      俺達の作戦はどうやら失敗したらしい。

      雄輔に何が起きたんだ?

      梓は留美に任せて、彼女達と離れてから俺はもう1度雄輔に電話をかける。

      すると、ようやく彼が電話に出た。

      「何をしてる、お前。一体何があったんだ?」

      俺が責めるような口調で彼に問い詰めると、彼はいつもとは違う落ち着かない声で、

      『僕は最低だ。僕は……湯瀬さんを傷つけた』

      【 To be continue… 】

      ☆次回予告☆
      梓と雄輔、2人に何があった?
      それは僅かな嫉妬。
      好きだから、他の誰にも触れて欲しくない。
      距離が近すぎたゆえの独占欲が生んだすれ違い。
      その果てに待つのは希望か絶望か?
      【第14話:彼女の気持ち】
      大切にしたい。
      そんな気持ちが人を傷つける事もある。

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