晋江文学城
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13、第11話:破られた約束 ...

  •   それは今から数年前、まだ私たちが小学生だった時の出来事。

      その当時から私は未来のことが好きだった。

      まだあの頃の未来は私に優しくて、私は彼にべったりと懐いていた。

      私は当たり前のように彼の傍にいた。

      未来もそれを望んでいると思っていた。

      「私ね、未来が好きなの」

      「ミクちゃんが?」

      「うん」

      小学6年生ぐらいだったと思う。

      私は舞に未来を好きだと教えた。

      よくある「好きな人は誰?」という質問。

      私がそう答えると千夏を含めた他の友達は皆納得した表情で、

      「だろうね。留美を見ていればわかる」

      「うそ。そんなにわかりやすい?」

      「バレバレ。本人にも気づかれてるんじゃない?」

      「抑えられない好きって気持ちは見ていればわかるものなの」

      私としてはずっと隠してきたことだっただけに驚くしかない。

      だけど、未来にバレてしまってるかもしれないと言われても、私のことを受け入れてくれるだろうという確信が私に安心感を与えていた。

      「私は初めて知ったよ」

      舞がそう答えると、千夏は少しだけ呆れて、

      「舞はそういうの苦手だもの。知らなくても無理ないけど、留美の場合は普通にみてれば誰でもわかるから。これだけ分かりやすいのもねぇ」

      「……わかりやすくて、すいませんね」

      私は口を膨らませる。

      わかりやすいって言われるのも別に悪いことじゃないでしょ。

      それだけ未来が好きって気持ちなんだから。

      「私、るーちゃんのこと、応援するからね。頑張って」

      「ありがとう、舞」

      その時から、ずっと信じていた。

      自分が未来に受け入れられるということを。

      舞が自分を応援する立場であるということを。

      だけど、現実は違う。

      私は未来が舞を好きだという事を知った。

      きっかけは中学1年の舞の誕生日。

      マスターの喫茶店で行われた誕生日会の帰り道、舞と未来はどこかに向かっているのを見かけた私は自宅に帰らずに彼らのあとをつけた。

      別に何かが気になったわけでもない。

      ただ驚かせてみたかった、それだけ。

      彼らが向かった先は大嶺神社。

      夏に祭りが行われる以外は村の人でも中々訪れる機会はない。

      「こんなところに何の用事?」

      私は不思議に思いながらもそのまま歩き続ける。

      神社の奥に今まで知らなかった道があり、その先に開けた場所があった。

      「神社の奥ってこんな風になっていたんだね」

      「まぁ、ここは普通なら誰もこないからな」

      私は彼らの後ろの方で2人の姿を見ている。

      何か出て行ける雰囲気でもない。

      私は様子見をしていると、辺りは一面の夕焼けで朱色に染まる。

      「ホントに綺麗な夕焼け……。すごいね、ミクちゃん」

      「……この場所に連れて来たのは舞が初めてだよ」

      「そうなんだ。連れて来てくれて、ありがとう」

      うぅ、ここからじゃその綺麗な夕焼けは見れない。

      私も出て行こうかなって迷っていると、

      「るーちゃんは連れてこなくてよかったのかな?」

      「俺が連れてきたかったのは舞だから。留美は……また今度連れてくるから。だから、それまでこの場所は2人だけの秘密にしよう」

      ……私は自分の聞いた言葉を理解できずにいた。

      だって、今まで私が好きだと思っていたはずの未来が舞に笑みを向けた。

      私に向けられたことのない満面の笑み。

      『抑えられない好きって気持ちは見ていればわかるものなの』

      以前、友人の言った言葉を思い出す。

      その笑みを見て私は思い知る。

      未来は舞が好きなんだって、そう見ているだけで感じられた。

      私は自分の頬を涙が伝うのに気づいた。

      私、泣いてる?

      「……未来」

      彼の名前を口にして、私は瞳を拭う。

      嗚咽をもらすでもない、ただ涙だけがとめどなく溢れる。

      未来が私を好きだって信じていたかった。

      私、彼の何を見ていたんだろう。

      未来しか見ていなかった、だから、彼も私のほうを見ているんだと思っていた。

      それは違ったんだ。

      彼の視線は私ではなく舞に向けられていた。

      それを私は今の今まで勘違いしていた、そういうことだった。

      「ミクちゃん、また一緒にここに来ようね」

      「ああ。そうだな、いつでもって言いたいがそれじゃ何だかな。そうだ、それじゃまた来年の舞の誕生日に来ようぜ。その方がいいよな」

      「うん、約束だよ」

      舞は未来に無邪気に微笑む。

      その笑顔に未来も嬉しそうに笑う。

      真っ赤な夕日はきっと綺麗なんだと思う。

      でも、私にはその夕日は見えない。

      「……大丈夫だもん」

      私は小声で拗ねるような言葉をつぶやいた。

      『留美は……また今度連れてくるから』

      そう彼は言っていた。

      いつの日か、未来がこの場所に連れてきてくれる。

      その時に夕日は2人で見ればいい。

      彼の心も舞の方が気にしてなければ問題なんてない。

      舞は未来を好きではない。

      だから……まだ私にもチャンスくらいはあるはず。

      私は今度はそう信じて、彼を好きでい続けることを選んだ。

      今さら諦めることなんてできない。

      できるはずがなかったから。

      それが私の苦しい恋の始まり。

      私と未来の関係はほんの少しだけ変わり始めた。

      今までの私は未来を引っ張っていくような強気で積極的な接し方だった。

      けれど、私は彼との関係を大事にしたいあまりに臆病になったと思う。

      未来の行動に従う、そんな消極的な自分の行動は好きではないけれど、自信がない。

      今までのように無意識にでも彼が私のほうを向いていることを信じることができない。

      私にできるのはこれ以上嫌われないようにするだけ。

      だから……私は未来のために、ううん、自分のためにある程度の距離をおいて接するようになったんだ。

      昨日、舞が未来に対して恋心を抱いていると知ってしまった。

      恐れていた現実は翌日になっても私を絶望におとしたままだった。

      2人の間に私はもう入り込めない。

      「……ミクちゃんが好き、か。……嘘だって言ってよ、舞」

      あの場所で舞はそう言って未来にキスした。

      その光景を思い出すだけで私は悲しくなる。

      彼女が未来を好きになることは考えていなかったわけじゃない。

      気持ちを抑えることはできない、それは私自身が良く知っている。

      だから、舞が未来を好きになったとしても責められない。

      「約束した……じゃない」

      それでも“裏切られた”と彼女を責めるのは私の心がせまいということなのかな。

      舞だけは私の味方だと思っていた。

      彼女が味方だから、私は未来を好きでいられた。

      「……舞、冗談だよね」

      ウソだと信じたい気持ち、そんな自分が嫌になる。

      私は手にした携帯電話を眺める。

      昨日の夜に未来に会いたくてメールした。

      返事はまだ返ってきてない。

      昨日、あれから2人はどうなったのか。

      もしも、ということを考えるだけで怖かった。

      ……私、覚悟しておいた方がいいかもしれない。

      私の知らないところで2人は仲良くなっている。

      それは間違いないと思う。

      だとしたら、私にできるのは何?

      彼を諦める、それだけ……。

      親友の恋の邪魔をするな、一般論でもそういう事だよね。

      そんな暗い考えになっていると、未来からようやく返事がきた。

      2人のデートを想定していたのに彼からは“3人”で行こうという返事。

      舞がいる……それだけでも私は心が痛い。

      2人が絆で繋がっている、そんな感じがしてすごく嫌な気分になった。

      それでも断ることはしたくないのでOKの返事をだした。

      舞も未来も2人のことは好きなのに……恋愛絡みだとこんな風になるのが辛い。

      人の関係ってどうしてこんなにも複雑なの?

      私に残された可能性、それは口にしたくないけれどほとんどない。

      未来は舞が好きで、舞も未来が好きになってる。

      ……私は……ホントにもう諦めるしかないのかな。

      約束の時間に駅前までくるとそこにはすでに舞が来ていた。

      まだ時間まで15分も前だというのに時間にきっちりしている。

      舞は私の姿に気づいていつものように声をかけてくる。

      「るーちゃん、こんにちは」

      「うん。こんにちは……」

      私としてはかろうじて彼女と挨拶できたのが精一杯。

      いろんな意味で怖いし、できることなら避けていたい状況ではある。

      それでも逃げられるような状態でもないし、何より、彼女は私の心の変化なんて気づいていないのでいつものように接してくる。

      「今日はどこに行くつもりなの?」

      「悠里に教えてもらった新しいカフェ。そこのパフェがすごく美味しいって」

      「へぇ、楽しみだね。るーちゃんは甘いもの好きだから」

      「私は甘いものがないと生きていけないから。その分、体重とか気になるんだけど」

      私も彼女に合わせるように普通の会話をする。

      どこもおかしいところはない。

      大丈夫、私は自分を偽りながら彼女と話を続ける。

      「まだ未来と勉強してるの?」

      「うん。この間ね、模試があったんだけど……」

      勉強の話になって私は適当に受け答えするだけでよかった。

      なんだろう、本当はあの話をしたいと思う自分がいる。

      彼女に確認を取りたい、あれは幻であったと思いたい。

      でも、そんなこと聞けるわけがない。

      例え聞けても舞に認められるのも怖い。

      私はどうしたいの?

      そんな私のことなどおかまいもせずに舞は話を続ける。

      それが嫌な自分を表に出してしまうきっかけになる。

      「私……そろそろ未来に伝えたいなって思ってるの」

      「え?」

      「ほら、告白っていうのかな。ちゃんと自分の気持ちを伝えて……未来と恋人になりたいなって。私たちも高校3年生だもの。もう時間もないし、それに……私は未来のように大学にいくわけでもないから……触れる機会も少なくなるだろうから」

      「そ、そうだね……」

      私の言葉に彼女は少なからずの動揺をみせる。

      私は彼女に対して隠れた敵意みたいなものを抱いている。

      どんなに抑えようとしても抑えられない怒りの気持ち。

      それは小さくない程度に私の心を突き動かしていた。

      「……それでね、私……この夏に告白しようと思ってたの。ホントは昨日の祭りで言っちゃうつもりだったんだけど、ドタキャンされちゃったし。うまくいかないね」

      「あ……」

      彼女は小さく声をもらす。

      罪悪感でも感じているのか、表情も暗くなっている。

      「……今が2人にとっても1番大事な時期だってわかってる。だけど、私は未来が好き。好きだから……何もできないけれど傍にいてあげたいなって……」

      「傍にいたい……」

      「うん。最近、未来は忙しそうだし、私にできることを探してるの。……ほら、恋人だったらいろんな意味で支えてあげられると思って。その……精神的にも□□的にも」

      私は恥らうような微笑をする。

      もちろん、演技の笑みで本当は苦笑したい気持ちなんだけど。

      舞の様子は目に見えて悪くなっていく。

      「こんなこと、舞に頼んでいいのかわからないけど、協力してほしいなって」

      「……うん。私にできることならなんでもするよ」

      それは何だか無理やりつくったような笑顔。

      その笑顔で、私は……昨日のことが現実だと改めて思い知る。

      ……私は2人の邪魔をしている。

      そんなことは考えたくない。

      考えてしまえば、自分が負けていると実感してしまうから。

      「これだけは聞いておきたいんだけど、舞も未来のこと好きとか?ええと……それならこういうのって頼めないじゃない。舞も女の子だし……そういう可能性もあるし」

      言葉をにごす私の態度。

      ホントに躊躇したワケじゃない。

      私は彼女の口から直接否定の言葉を聞きだそうとしていた。

      「……恋愛という意味じゃなくて、友達としてなら好きだよ。だから……私はるーちゃんとミクちゃんのことを応援する。昔からそれは何もかわってないよ」

      「ありがとう」

      私は見ないふりをしていた。

      彼女が泣きそうな顔でその言葉をつぶやいた事を。

      私はひどい友人だと思う。

      本当ならもういい加減に諦めて、親友2人の仲を望んであげるべきなのに。

      ……それができないのは自分のエゴだ。

      認めてあげられない、認めてしまいたくない、認められない。

      舞が未来を好きだということにこうして釘をさすことぐらいしかできない。

      私はそんな汚い自分に嫌悪した。

      未来とのデートのあと、私は自分の部屋であることに悩んでいた。

      彼への告白。

      私は未来に対して告白したいと思い始めていた。

      限りなくゼロに近くても可能性がないわけじゃない。

      私はアルバムを開いて、彼の写真をながめる。

      子供の頃の私は未来に対して絶対的な信頼と愛情を抱いていた。

      今のように不安定な気持ちになることなく、ある意味純粋だった。

      破られた約束、複雑な関係、そんなことなんて当時は考えもしてなかっただろうに。

      「未来」

      私は枕を抱きながら、彼を想う。

      私の知らない彼の姿を舞だけが知っている。

      きっと2人は私の知らないところまで行っている。

      キス……それ以上のこともしているかも。

      考えればきりがない、考えるだけで胸が痛い。

      「貴方が好き……」

      そう素直に言葉にできればどれだけ幸せか。

      ……告白だけでもしておこうかな。

      無理かもしれないけれど、自分が好きだったことだけは伝えたい。

      思い通りにならない恋愛だけど、私には未来しかいない。

      未来のためなら何でもしたい。

      未来の望みを叶えたい。

      ……それが私の望みと違っていたとしても。

      【 To be continue… 】

      ☆次回予告☆
      それは新学期が始まってすぐの悪夢。
      ついに梓に雄輔の趣味がばれてしまう。
      この緊急事態に未来は雄輔を助けようとする。
      2人の間にある大切なものを守るため。
      友のために、未来はある行動を起こす。
      【第12話:ダブルデート作戦《前編》】
      親友たちの恋を発展させたい。
      それは自分たちの恋と違い、純粋な恋愛だから。

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